イタ飯ブーム、宅配ピザ、百貨店のイベント催事、いつの時代もイタリア料理は私たちの身近にあります。家庭で作ることも珍しくはありません。専門店も増え、ピザを専門としたピッツェリアもそのひとつ。三鷹のピッツエリアといえば、ナポリピッツァのお店「ボッテガンテ」といえるでしょう。
イタリアの雰囲気を彷彿とさせる開放感
「ボッテガンテ」があるのは、JR三鷹駅を南口に出て、歩くこと6、7分。
三鷹産業プラザ東交差点を目指すとわかりやすい。通りに面した店舗は、黄色い外観と赤いひさし、大きなイタリア国旗が目印です。アクセスのしやすさも功を奏して、大勢のお客さまで賑わっています。
お客さまは地元の方々が中心なようです。住宅街という閑静な場所に、イタリアの雰囲気がポツンと現れます。
お店は、一軒家で少し高台に位置しており大きなテラス席。このスペースとアプローチが非日常を生み出し、ゆったりとした気分にしてくれます。
店内は白い壁と深い茶の木の床、テーブルや椅子、ソファがぬくもりに溢れた雰囲気。タイルを貼った柱は遊び心があり、外食の楽しさを醸し出しているようです。テーブル席は2人用をベースに、人数に応じてくっつけて4人、6人と対応できるので、ひとりでもグループでも活用できます。
天気のいい日はテラス席が特等席。開放感がひときわです。このテラス席、気持ちの演出だけでなく、実用的な側面もあります。というのも住宅地で、マンションだけでなく戸建ての人が多く住んでいるこのエリアでは犬を飼っている人も少なくありません。犬連れのお客さまのためでもあるのです。実際、犬と一緒に食事を楽しむお客さまは少なくありません。
パリッ、もちっ。聴覚にまで幸せもたらすピッツア
料理は、もちろんピッツアがウリ。日本の窯職人が手がけた日本の風土に合ったピザ窯で一枚一枚焼かれます。生地を広げ、具材をのせ、窯に入れてからはあっという間ですが、ここに辿り着くまではプロならではのこだわりを経ています。
ナポリピッツアは中はもっちり、外はパリッとした生地が身上。小麦粉、塩、水、イーストのみというシンプルな素材でだからこそ、職人の技がものを言います。そのため、季節に応じて、日本各地のみならずイタリアからも粉を取り寄せ、さらには粉と水の配合を調整し、その都度いちばんよい状態の生地を練り上げているのだとか。
ピッツアは17種類ほどあり、モッツァレラチーズ、トマトソース、バジルのマルゲリータやモッツァレラチーズ、トマトソース、アンチョビ、オレガノ、バジルのロマーナといった定番メニューをはじめ、店名がついたオリジナルの、燻製モッツァレラチーズ、モルタデッラ、トマトソース、バジル、温泉卵のボッテガンテなどをラインナップ。直径24cmもの欲張りサイズなのも、嬉しいですね。
トマトの印象が強いイタリア料理ですが、そうでないものもあり、ピザでも食べられます。中でも人気が高く、かつお店でも自慢の一品は、コンキリエ。モッツァレラチーズ、帆立、ごぼう、アンチョビ、パセリバター(エスカルゴバター)をのせた1枚で、ごろごろっととした帆立、歯応えがあり大地を思わせる香りを放つごぼう、旨みたっぷりのアンチョビとパセリバターが豊かなハーモニーとなって口の中で広がり、やみつきになることでしょう。
アラカルトでもコースでも楽しめます
ピッツアがウリではありますが、「ボッテガンテ」は前菜もパスタ、魚や肉料理も充実しています。
前菜はマリネやソーセージ、フライドポテトなど、手軽にまずはここから始めたいメニューが10種類ほど揃っています。
パスタは基本一定価格で、ズワイ蟹のトマトクリームソーススパゲッティ、ミートソーススパゲッティ、しらすととびっ子のペペロンチーノスパゲッティなど5種。どれを食べてもハズレなしのおいしさです。魚も肉もメカジキのカツレツ、黒豚のグリルなどが揃います。
好きなものを好きな分だけ食べたい方にはアラカルトでの注文がいいのですが、いろんなものをあれこれと楽しみたい人は、パーティーメニューが目白押しです
Aコースは前菜5種、ピッツァ、パスタ、ひとくちドルチェ(デザート)、Bコースは前菜8種、鮮魚のカルパッチョ、ピッツァ、パスタ、ひとくちドルチェ(デザート)という内容です。
Bコースのある日の前菜8種と鮮魚のカルパッチョは、鮭のフリッタティーナ、イイダコ ピリ辛トマト煮込み、ピクルス、サツマイモとベーコンのキッシュ、カプレーゼ、鶏とクリームチーズのテリーヌ、生ハムサラミ、チーズテリーヌ、真鯛のカルパッチョでボリュームも申し分なし。これだけでお腹いっぱいになってしまう、と嬉しい悲鳴を聞こえてしまうほどです。
さらにプラス料金で2時間飲み放題もつけられます。
パーティープランですが、実際に誕生日、忘年会や送別会わいわいする場で利用されることが多いのですが、実は2名から利用可能。おいしいものをたっぷり、ゆっくりと味わいたいカップルや友達同士でも利用にも役立ってくれます。
ランチもテイクアウト可
ランチ営業もあり、11時30分にオープンするとすぐに席が埋まり始め、12時にはすでに満席!のときも少なくありません。
ピザやパスタに、サラダとドリンクがついたセットで提供しています。デザートもおとくな値段なので、一緒にオーダーするお客さまも多くいらっしゃいます。
「ボッテガンテ」はピッツエリアとあって、食べに行くところと思ってしまいがちですが、持ち帰りも好評です。やはり、というべきか、コロナですっかり定着したようです。
提供しているのはピザに限りません。パスタや前菜、肉料理も、そしてデザートまで、可能なものは持ち帰りOKとあって、「ボッテガンテ」で頼めば、家でイタリアのフルコースも食べられます。もちろんピザやパスタだけオーダーしてサクッと食べたいときにも重宝します。ピザをはじめ、本格的なイタリア料理がお店でも家でも食べられるのは嬉しいですね。
編集後記
店名の「ボッテガンテ」とは、イタリア語で“職人の居る小さな店のオーナー”の意味。
オーナーシェフの浅川拓也さんは、まさに三鷹の“ボッテガンテ”です。
浅川さんは、イタリアでの修業経験もあり、本格的なイタリア料理店でも腕を振るっていた方。山梨県出身で、中央線沿線で物件を探していて、辿り着いた先が三鷹だったとか。
「地元の方とのフレンドリーなお店を目指して、自身のお店をオープンするにあたっては、親しみやすいイタリア料理店を、とピッツェリアにしました。
2014年2月にオープンしたときは、縁もゆかりもなかったのですが、すぐに気に入りました。とにかくお客さまがやさしくって、おいしい、と言ってくださって、親しみやすくって、私自身も気持ちいい時間を過ごせています。このまま、この形で続けられるのが理想ですね」。
<店情報>
ボッテガンテ(BOTTEGANTE)
東京都三鷹市連雀3-38-7
TEL:0422-24-7250
11:30~14:00LO、17:30~21:00LO
月曜休(祝日の場合は営業)
https://no-warpeaceful-wor.wixsite.com/pizzeria-bottegante/blank-1
<取材後記>
「本格的!」そう思いました。他のお料理もしっかりとした基礎があって、しかもボリュームもあり、質も量も満足。イタリアを感じさせる料理がある一方、日本らしい食材を使って、ピザやパスタに応用させているのも、プロの技術と知識があってこそだと感じました。
例えば、コンキリエ。ピッツアごぼうをのせるなんて。これがアンチョビなどの旨みと合わさって、イタリアと和がバランスよくミックスされた一品に。他では食べられない、記憶にはっきり残りました。
近所にあったらいいな、のお店の条件として、サクッと、きちんと、ひとりでも家族やグループと、いずれの場合も応じてくれることがあり「ボッテガンテ」はまさにそんなお店でした。どんなシチュエーションでも利用できます。
オーナーの浅川さんをはじめスタッフの方々の対応もやわらかくって気持ちよく、おかげでゆったりとのんびりとした時間が過ごせます。背伸びしないで、日常のちょっと豊かなひととき、そんな時間が過ごせるのが、三鷹の、そして「ボッテガンテ」の魅力だとおもいました。
ライター:羽根則子