
軽トラックに本を積み、街へ、地域へ、人のもとへ──。
yummybooks は、「本を待つのではなく、本が会いに行く」ことをコンセプトにした移動型書店です。代表の山本哲也さんは、軽トラックを改造した書店で、子育て支援団体やUR団地、地域イベントなど、さまざまな場所へ本を届けています。
山本さんは、もともとチェーン書店で店長として働いた経験を持ち、独立後に自身の書店を構えました。しかし、コロナ禍によって人の流れが大きく変わり、来店客は激減します。「お客様が来ないなら、こちらから本を届けよう」。その発想の転換が、移動型書店という形につながりました。

活動を進める中で、特に強く意識するようになったのが子育て世帯です。少子化が進む一方で、絵本の需要は決して減っていないこと。共働き家庭が増え、平日はもちろん、土日もゆっくり本屋に行く時間が取れない家庭が多いこと。そうした現実を目の当たりにし、「親子が一緒に本と出会える場所をつくりたい」という思いが強くなっていきました。
実際に移動販売を始めてみると、子どもの本を選ぶつもりで立ち寄った親が、自分の本も手に取っていく場面が多く見られたといいます。本を選ぶ時間そのものが、親子の会話のきっかけになり、自然なコミュニケーションが生まれていく。その光景は、山本さんにとって「本屋の原点」を思い出させるものでした。

yummybooksが軽トラックを選んだ理由は、何よりも「どこへでも行けること」です。公園や森、山あいの地域、道幅の狭い場所など、固定店舗では難しい場所にも本を届けることができます。また、販売の現場では、「どんな人が、どんな本を選ぶのか」を直接感じられるのも大きな魅力です。お客様と会話を交わしながら本を薦める時間は、山本さんが最もやりがいを感じる瞬間でもあります。
現在はイベント出店が中心ですが、今後はさらに活動の幅を広げていく構想があります。病院の小児病棟や福祉施設、介護施設など、外出が難しい人のもとへ本を届けること。そして、入院中に購入された本を退院時に預かり、病院に常設の図書棚として残していく取り組みも構想中です。

仮称は「命のライブラリー」。
一人が読んだ本が、次の誰かへと受け継がれていく。
yummybooksは、本を通して人と人をつなぎ、静かに、しかし確かに、地域に物語を届け続けています。
店舗情報
住所:東京都三鷹市下連雀1-2-25サン・アネックス101
公式ホームページ: https://yummybooks.net/